「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2009年版」「膵癌取扱い規約 2009」が発刊されました。


科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2009年版 科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2009年版
(2009/10)
膵癌取扱い規約 膵癌取扱い規約
(2009/07)
日本膵臓学会


CQ2-1 局所進行切除不能膵癌に対し、化学療法単独による治療は推奨されるか?

局所進行切除不能膵癌に対する化学療法単独による治療は選択肢の一つとして推奨される。グレードB

CQ2-2 遠隔転移を有する膵癌に対して推奨される一次化学療法は何か?

遠隔転移を有する膵癌に対する一次化学療法としては、ゲムシタビン塩酸塩が推奨される。グレードA

CQ2-3 切除不能膵癌

切除不能癌に対するゲムシタビン塩酸塩は、投与継続困難な有害事象の発現がなければ、病態が明らかに進行するまで投与を継続する。グレードB

CQ2-4 切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?

我が国においては保険適応内で十分な科学的根拠を有する二次化学療法薬はないが有用性を示唆する報告もあり、また海外においてはランダム化比較試験により有用性を示した二次化学療法も最近報告されている。PSの良好な患者に対して十分な説明と同意を得たうえで二次化学療法を実施することは選択肢の一つとして考慮してもよい。グレードC1

CQ3-1 局所進行切除不能膵癌に対し化学放射線療法は有効か?

局所進行切除不能膵癌に対する化学放射線療法は有効な治療法であり、治療選択肢の一つとして推奨される。グレードB

CQ3-2 局所進行切除不能膵癌に対し化学放射線療法の標準的併用化学療法は何か?

局所進行切除不能膵癌に対して、化学放射線療法を行う場合の標準的な併用化学療法は5-FUである。グレードB
ゲムシタビン塩酸塩との併用については積極的に推奨するだけの科学的根拠が十分ではないものの、その有用性を示唆する報告もあり、安全性が確認されたレジメンにおいて十分な説明を行い同意を得たうえで実施することは、選択肢の一つとして考慮されてもよい。グレードC1

CQ3-3 局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線治療臨床標的体積に予防的リンパ節領域を含めるべきか?

局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線治療の臨床標的体積に予防的リンパ節領域を含むか否かについてはまだ前向きな比較試験が行われていない。よって推奨できるに十分な科学的根拠はないものの、現時点では肉眼的腫瘍体積と転移頻度の高いリンパ節群を含んだ臨床標的体積にすることが勧められる。グレードC1

CQ3-4 局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の効果はあうか?

局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の有用性を支持する少数の報告はあるが、これが予後を改善させるか否かについての科学的根拠はいまだ十分ではない。グレードC1

CQ3-5 放射線療法は切除不能膵癌のQOLを改善するか?

切除不能膵癌のQOL改善には、放射線療法(グレードC1)や化学放射線療法(グレードB)が勧められる。

CQ4-1 Stage IVa膵癌に対する手術的切除療法の意義はあるか?

Stge IVaまでの膵癌には根治を目指した手術切除療法を行うことが勧められる。グレードB

CQ4-2 膵頭部癌に対して膵頭十二指腸切除において胃を温存する意義はあるか?

膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除において胃温存による術後合併症の低下、QOL、術後膵機能、栄養状態の改善は明らかではない。グレードC1
膵頭部癌に対する膵頭部十二指腸切除において胃温存により手術時間は短縮され、出血量は少ないが、胃温存による生存率低下はない。グレードC1

CQ4-3 膵癌に対する門脈合併切除は予後を改善するか?

膵癌に対して根治性向上を目的とした予防的門脈合併切除により予後が改善するか否かは明らかではない。門脈合併切除により切除断端および剥離面における癌浸潤を陰性にできる症例に限り適応となると考えられる。グレードC1

CQ4-4 膵癌に対して拡大リンパ節、神経叢郭清の意義はあるか?

膵癌に対する拡大リンパ節・神経叢郭清が生存率向上に寄与するか否かは明らかではなく、行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。グレードC2

CQ4-5 膵癌では手術例数の多い施設での合併症が少ないか?

膵頭十二指腸切除術など膵癌に対する外科切除術では、手術症例数が一定以上ある専門医のいる施設では合併症が少ない傾向があり、合併症発生後の管理も優れていると推察される。グレードB

CQ4-6 非切除バイパス、胆管ステント療法は意義があるか?

外科的切除を目的に開腹し、非切除となった黄疸を伴う膵癌に対しては胆管空腸吻合術による減黄術、予防的胃空腸吻合術が推奨される。グレードB

CQ5-1 膵癌に対する術前治療(①化学放射線療法及び②化学療法)は推奨されるか?

術前治療(①化学放射線療法および、②化学療法)の有用性を支持する論文が増加傾向にある。しかし、これが長期遠隔成績を向上させるか否かについては、今後の臨床試験や研究の蓄積によって明らかにされるべきである。グレードC1

CQ5-2 膵癌の術中放射線療法は推奨されるか?

術中放射線療法の有効性を支持する十分なエビデンスはいまだに示されておらず、これが予後を改善させるか否かについては、今後の臨床試験や研究の業績によって明らかにされるべきである。グレードC1

CQ5-3 膵癌の術後化学放射線療法は推奨されるか?

5-FUをベースとした術後補助化学療法のメタアナリシスからは、有用性を支持するエビデンスは得られなかった。ゲムシタビン塩酸塩を加えたレジメンについては、今後の臨床試験や研究の蓄積によって明らかにされるべきである。グレードC1

CQ5-4 術後補助化学療法を行うことは推奨されるか?

国際的に十分なコンセンサスが得られた術後補助療法のレジメンは確立していないが、ゲムシタビン塩酸塩による術後補助化学療法は、有用性、安全性の点が比較的良好な成績を示しており推奨される。 グレードB